君が嘘をついた
脚本・野島伸司 演出・楠田泰之
出演者:三上博史 麻生祐未 工藤静香 大江千里 鈴木保奈美 布施博 宇梶剛士 井上彩名 地井武男
第9話「愛と涙のホワイト・クリスマス」
ラスト、主人公カップルがクリスマスキッスしてる最中に流れるモノローグ
「降りしきる雪と同じオフホワイトの色で、僕は彼女のハートにアイラインを引いた…」
雪って、純白って表現するのに、なぜオフホワイト?そんなに美しかないよってこと?ベタベタのクリスマスキッスしてんのに?
まぁ、それは置いといて、彼女のハートにアイラインを引いた…。…。…。…。うん、意味わからん。ハートのアイラインって何?しかも、オフホワイトのアイラインて何。なんで?なんでアイライン引くの?アイラインはどこの比喩?さっぱり意味わからん。
この最後のこの瞬間まで、野島センスの良し悪しは置いといて、意味はわかってたし、むしろうまい!とすら思うこともあったのに、大オチのこのモノローグのキレの悪さたるやないよ。どうした野島伸司!
っと、ラストのモノローグの茶々入れは置いといて、前回、全てのカップルを別れさせといて、最終回でどうやってカップルをあてがうのか、また再び結びつかせるかのうまさは、さすがの野島伸司だった。特にびっくりしたのが、まさか宇梶にあてがわれたのが、大江千里に地味に振られた「この子は、熊本だ」というまさかのカップリングセンス。なんだかんだおさまるとこにおさまる。結構お似合いだったし。
そして、主人公カップルについてはどうせ結ばれるんだから、どう引っ張るのか、どうやって最終回ドラマチックを演出するのかと思ったら、「クリスマスイヴ」をこの時代の生ける若者たちの最大Xデーと設定し、ケータイも何もない二人が、職場に迎えに行くも一足遅く、あっちの家に行き、こっちの家に行き、すれ違いを散々しまくって、12月24日23時59分!までに!!二人は!!!出会えるのか!!!?という超強引大スペクタクル。
この強引さは時代がなせる技なのか、野島伸司の超絶センスの賜物なのかわかんないけど、すれ違ってる途中で、誰もいない彼の家の玄関先にクリスマスケーキ置いて、一本火をつけたローソク立てとく…とかいう今考えると、火災の心配…っていうか、ホラーで怖すぎるシチュエーションですら、会いたい会えない!のドラマティカルにするというアクロバティック。
そして、結局、24日の12時は越えてしまうんだけど、なんだかんだ、よくわかんない道端でばったり会うっていう…。いままでのドラマチックなんだったん?っていうオチ。
だけど、なんだったん?っていうツッコミを封じ込むかのように、
「あたしにとっては、あなたといるときがいつも、クリスマスイヴなの…」
うん、もう、何も言わん。
で、第1話冒頭で登場したハイヒールを彼女にプレゼントしたのに対し、「どうしよう…あたし、手ぶらなの…」→リボンを彼女に結び「これがなかなか手に入らなくてさ…」→クリスマスキッス→モノローグ
うん、やっぱり野島伸司、天才だな。
【総評】
デビュー作だろうと野島センスは今と変わらず。シチュエーションの強引さは散見されるも、セリフのポエミーと珍妙さ、掛け合いの巧さで乗り越えている。登場人物達の関係性の付け方とバランス、バリエーションはよく練られていたし、根底にある野島哲学=愛はどこに宿るのか?はやはり流れていた。
ただ、その哲学を把握しない、しようとしない演出効果によってただただノンキなラブコメに仕上がっていた。だけど、当時はこの作り方で間違っていなかったはず。
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