君が嘘をついた
脚本・野島伸司 演出・楠田泰之
出演者:三上博史 麻生祐未 工藤静香 大江千里 鈴木保奈美 布施博 宇梶剛士 井上彩名 地井武男
第5話「嫌われてもキスしたい!」
「今度…、遊園地行きませんか?……コーヒーカップ乗りませんか?」」
今週の宇梶でした。
パンチが弱い!
売り物のグレープフルーツに自分の電話番号を直書きする狂気に比べたらあまりにもパンチは弱い。
だけど、あの宇梶が「遊園地行きませんか?」はまだいいとして、「コーヒーカップ乗りませんか?」って逆に怖い。何するつもりなのか、どういう思考でコーヒーカップをチョイスしたのか、ディテールを想像するだけで怖い。
とは言っても、このドラマでは「(宇梶のこと)やさしいのね…」とあっさり受け入れられてしまう世界観。これがバブル景気の空気なのか。怖い。
さて、もう一個、あっさり受け入れられすぎて度肝を抜かれたのが、静香の男友達である幹久の、とある一言。
「明後日は、ナンパなんだよ。女同伴で、お前(静香)、暇だろ?」
ヒドイ。
ナンパ宣言をわざわざするという謎は百歩譲って置いとけたとしても、“女”呼ばわりしといて、“お前”も、行くよな=“暇だろ?”の3連コンボ。最低過ぎる。
しかも、“明後日は…”って、ナゼ明後日。設定上、別に明日でもいいのになぜ“明後日”。これまた、その明後日のディテールを想像しただけで怖い。しかもギラついた目つきの幹久が言うことで浮かび上がってくるサイコパス。怖すぎる。
とは言っても、静香はこのセリフをガン無視して、違う話題に切り替えるという高すぎるスルースキル。この最低でサイコパスな会話を軽口として受け流せる浮遊感こそがバブル景気の空気ということなのでしょう。
と、ついつい、サイコトークに花が咲いてしまいましたが、今回の見どころは、この時代ならでは、電話でのすれ違いシチュエーション全種見せ。
・電話するも咳き込んでしまって名乗れない
・女友達が電話に出て、嫉妬して不在と告げてしまう
・通話中でつながらない
・お互いにお互いの電話にかけたので通話中
・やっとつながるも恋人なのかと疑ってしまう人が出て、つい切る
・やっぱもっかい電話しよう…と思って電話するも、相手がイチャコラしてて通話できず
列挙してみたけど「電話するも咳き込んでしまって名乗れない」…強引すぎる。声整えてから電話しろよ。
だけど、それを成立させてしまうのが野島伸司。だって咳き込んでのシチュエーションをしつこく二回続けて、三回目に「女友達が電話に出て、嫉妬して不在と告げてしまう」という三段オチに持っていくんだもん。うまい。
…うまい?か?
うまくはないけど、ちゃんと考えて作ってる。
そこが大事で、それこそが野島伸司の野島伸司たる所以。
また肝心の嘘がバレてしまった今週。嘘でも好き、嘘だから許せない、嘘だけど「ま、いっか」と、三者三様のカップルのコントラストがさすがの野島伸司。
超浮かれたライトコメディだというのに、ちゃんとその辺を作り込んでいる。
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